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発行:KADOKAWA
四六判 224ページ
定価 1,800円+税
ISBN 978-4-04-606798-2
Cコード C0095
初版年月日 2024年12月19日
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―鮮明に思い出せることほど、ほんとうは忘れられたことなのかもしれない。
忘却と喪失。停滞と安寧。異端の言語感覚で綴られる、過ぎ去った日々の心象。
随筆。小説。詩。日記。変幻自在に境界を超える筆致が織りなす待望の随想集。
装画:つくみず
装丁:名久井直子
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小さなころの夢は石になることで、いま夢みるのも石になること。
もの言わず、もったりと、ただそこにあるだけのものでありたい。
水と風に磨かれて、つやつやしたからだにひかりを溜めていたい。
ときどき拾われて、飾られたり投げられたりするのも、悪くない。
むきだしのみじめさを武器にも鎧にもしないで、そこにありたい。
『石の日』より
……きっと、何者にもなれない。そんな言葉を聞いて、煮物にもなれない、と思った。
何者にもなれない、という十の音のつらなりは、その九つを煮物にもなれないが占める。
『煮物にもなれない』より
神は細部に宿るのではなく、細部を見つめる視線に宿る。
それか、細部にすました耳に。こまやかさをこぼさないよう、ふるえる手つきの中に。
『ゴッホとズボン』より
(版元より)
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24章からなる怒涛の浅井音楽ワールド!
生々しい原石が描く、エッセイでもあり小説でもありポエムでもある日本の現代文学がここに誕生。
(本屋イトマイ店主)